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上腸間膜動脈症候群とナットクラッカー現象

congerdesign / Pixabay

「上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)とナットクラッカー現象」が時々こんがらがってしまうので、備忘録がてらまとめておきます。

 

Contents

上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)は要するに十二指腸閉塞の一種

上腸間膜動脈が腹部大動脈から分岐する角度が鋭角のため、

上腸間膜動脈腹部大動脈・椎体との間に十二指腸水平部・下行部が挟まり、腸閉塞に至る」

というのが病態です。要するに十二指腸閉塞で、イレウスの一種と考えても良いのではないでしょうか。

腸閉塞が起こると、閉塞部位より上流が拡張するため、胃が膨隆し腹部膨満感を訴えます。

また、胃や十二指腸の内圧が上昇するため、悪心・胆汁性嘔吐が生じます。先天性十二指腸閉塞と同様の病態のため、X線ではdouble bubble signを認めます。

 

ナットクラッカー現象は

こちらも、上腸間膜動脈が腹部大動脈から分岐する角度が鋭角のため、

上腸間膜動脈腹部大動脈・椎体との間に腎静脈が挟まり、静脈圧が高まることで血尿が生じる

というのが病態です。無症候性血尿の原因の1つとして挙げられます。

基本的に良性の疾患で経過観察とすることが多いです。静脈圧の上昇が著しい場合は、ステント留置術も検討されるようです。

 

「はさまれるもの」だけが両者の違い

なんとなく混同していましたが、よくよく整理してみるといずれの疾患も、

上腸間膜動脈と腹部大動脈・椎体

がこれらより柔らかい組織を挟んでしまうことでおきてしまう閉塞に起因する病気です。

上腸間膜動脈症候群で挟まれるのは十二指腸下行部・水平部

ナットクラッカー現象で挟まれるのは腎静脈

これだけおさえておけば、だいぶスッキリと整理できるのではないでしょうか。

 

臨床で頻繁で見る疾患ではありませんが、ときどき耳にするこれらの疾患を整理してみました。実際にブログに書き出してみると、知識が整理されていい感じです(*^^*)

 

 

 

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