一昔前、あるジャーナリストが透析患者に関する不適切な発言をし、物議を醸しました。
「長谷川豊氏、「人工透析」ブログの「真意」語る 全腎協の謝罪要求は「断固拒否」」
J-CAST news 2017/6/7閲覧
この発言は後に撤回されましたが、長谷川氏はテレビ番組降板を余儀なくされるなどし、社会的影響は大きかったようです。
似たような話?というと問題かもしれませんが、病院を受診する患者さんの中には喫煙習慣を持つ方もたくさんいらっしゃいます。中には入院中に院内で喫煙してしまい、強制退院になる方も。。。
こんな方をちょくちょく目にしてしまうと、医療者サイドの喫煙者に対する治療意欲が下がってしまうのではないか、と懸念してしまいます。件名に対する答えは、YES/No両方いるというのが実際のところかもしれません。(統計を取ったわけではないので分かりませんが)
ただ大前提として、喫煙は合法的な行為です。喫煙者が病院内でタバコを吸うのは病院のルールに違反するので強制退院になってもやむなし、と思いますが、基本的にはタバコは嗜好品の範疇なので、強制的に禁止することはできません。
喫煙者は何ら違法なことを行っていない善良な市民ですので、彼らに対し、医療者が不平等な取扱いをすることはあってはならないはずです。
ただ、まあ、肺がんやCOPDにまでなって、息をするのもしんどいのに、まだタバコ吸ってるのはすごいなぁ、とは思いますが。逆を言えば、それほどまでにタバコには依存性があるのであり、禁煙は本人の意志の問題を超えたものである、と言えるのかもしれません。
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僕自身勉強不足なので、どのようにするば禁煙を確実に達成していただくことができるのかは分かりません。
正直、患者さんが喫煙されていると、患者さん自身に治療意欲があるのか少し疑問に思ってしまうこともあるのですが、そこはぐっと堪えて、
- 喫煙者は「ニコチン依存症」という疾病を持つ患者である
- 「ニコチン依存症」は疾病であるのだから、医師である自分は疾病をよくするために、すべからく禁煙指導を行うべきである
と考えるようにしています。
毎日毎日回診のたびに、「タバコをやめてください」と繰り返し唱えています。
家人の方の協力があれば、うまくいくこともあります。入院中は当然禁煙していただいているので、その延長で禁煙継続していただけることもありました。が、ムダに終わることの方が多いです。でも、僕が「タバコをやめてください」と言うだけならお金かからないし、失敗してもデメリットは全く無いので、しつこく唱えています。
どなたか、有効な禁煙指導の仕方(特に禁煙外来にてニコチンを使用した治療を行っても禁煙できなかった方)があれば、教えていただけるとありがたいです。
「あのひとはタバコ吸ってはるし、治療するの、なんか萎えるわぁ」と思うのではなく、「より治療効果を上げるために、どのようにすれば禁煙してもらえるのだろうか」と頭を捻ることが医療者に求められる姿勢だと思います。後ろ向きな姿勢ではなく、前向きな姿勢で取り組むことが大事やなぁ、と。
冒頭の長谷川氏も、「人工透析患者を増やさないためには今後どのような政策を行うべきか」あるいは「人工透析の費用を飛躍的に下げるにはどのようにすればよいか」前向きに論じることができれば、このように叩かれることはなかったのではないでしょうか。
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