学生の頃、病院実習をしていた頃から薄々感じていたのではありますが、働き始めて改めて実感すること不思議な『医療用語』の一つに「御侍史」「御机下」という謎の敬語があります。
例えば、開業医の先生から、僕が働く病院へ送られてくる紹介状では、
〇〇病院 ☆☆科
出木杉 英才 先生 御侍史
あるいは、
〇〇病院 ☆☆科
出木杉 英才 先生 御机下
という宛名になっていることが多いです。
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僕ら研修医は、紹介状をもらう立場ではないので、あまり御侍史・御机下という敬称を使われることは少ないです。
ただ、この敬称を用いることは結構あって、特に院内の他科にコンサルテーションする際によく使います。
例えば、、、
消化器内科 担当医先生 御侍史
平素は大変お世話になっております。
〇〇△△様は、当科にて関節リウマチに対しステロイド・メトトレキサートによる治療を行っている患者様です。
昨日昼、黒色便を排泄されたとの報告が看護師よりあり、本日便潜血検査を行いましたところ、便潜血(++)との結果であり、消化管出血を疑っております。下痢・嘔吐等の消化器症状は認めず、採血では貧血あるものの肝機能障害・腎機能障害は認めません。
ご多忙な中大変恐縮ではありますが、便潜血陽性に関して貴科的に御高診いただけないでしょうか。お手数おかけして申し訳ございません。何卒ご高配頂けますと幸いです。
膠原病内科 研修医 野比のび太 拝(PHS 5478)
みたいな感じでコンサルを書きます。ここでも「御侍史」や「御机下」を使うんですよね。
もともと、
「御侍史」(おんじし・ごじし)は、医師に直接手紙を届けるのは、多忙な医師には申し訳ないのでお付きの人に届けば十分です、という思いから使われている敬語
「御机下」(おんきか・ごきか)は、医師の机の上に置くほどの手紙ではないですよ、へりくだる敬語
やと思うのですが、「御侍史」は
そもそもお付きの人(秘書)がいる医師なんてほとんどおらん!!笑
し、「御机下」は
本当に手紙を机の下に置いたら、多分ブチ切れられる!笑
そもそも「御机下」が使われる書類は、紹介状とかやし、机の下に置いてはいけない結構重要な書類!!笑
それでも慣習とは恐ろしいもので、僕自身、「御侍史」「御机下」という言葉に慣れてしまいました。
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ちなみに、上で示したコンサルテーションも、簡単に書くならば、
消化器内科 担当医先生
黒色便の原因精査に関するご相談です。〇〇△△様は、関節リウマチに対しステロイド・メトトレキサートによる治療を行っている方です。
昨日昼、黒色便を排泄されたとの報告があり、本日便潜血(++)です。消化管出血の疑いありますが、下痢・嘔吐等の消化器症状は認めず、採血では貧血あるものの肝機能障害・腎機能障害は認めません。ご高診よろしくお願いいたします。
膠原病内科 研修医 野比 のび太(PHS 5478)
くらいでOKなはずで、
「平素は大変お世話になっております」「ご多忙な中大変恐縮ではありますが」「貴科的に御高診いただけないでしょうか」「お手数おかけして申し訳ございません。何卒ご高配頂けますと幸いです。」
あたりは、「くどいなぁ」と正直思いながらも、「みんな書いてるし長いものには巻かれとくかぁー。研修医は目立つことすると叩かれるし。。。」、というのが現状です。
「ムダな慣習だよなぁ」とか言うと、いろんな先生方に怒られそうなのですが、せめて院内では不要な挨拶を削って、内容だけでコンサルしたらええのになぁ、と思います。(紹介状は対外的な書類なのでこの限りにはないと思いますが)
とはいえ、この医療業界の慣習にどっぷりつかりつつある今日このごろ。。。
ええんやろうか、よーないんやろか(´・ω・`)
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