研修医やコメディカルを対象とした医療関係の講習会がいくつかあります。メジャーなものに関して数回に分けて紹介してみたいと思います。一部は学生さんも受講可能です。
今回ご紹介するのは、BLS, ACLS, PALSの3つ。僕は3つとも研修医1年目の9月までくらいに受講しました。
日本循環器学会やACLS協会が主催となって開催しています。もともとはアメリカのAHA(American Heart Association)が開発したシミュレーション型の心肺蘇生教育プログラムです。
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- BLS (Basic Life Support)
BLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015 準拠
医学部4年生のOSCEで行われる心肺蘇生とほとんど同じ内容です。目新しいのは、乳児の胸骨圧迫や異物誤飲の対応について学ぶくらいで、研修医からすると楽勝な内容です。そもそも看護師さんや一般市民向けの教育としての側面が強く、医師向けの内容ではないかもしれません。
ただ、いざ蘇生の現場では医者でもちゃんと動けないことはしばしば。一度は受講されておくことをオススメします。後の紹介するACLS, PALSを受講するためには、BLSを修了し、BLS providerである必要があります。
↑がテキストです。(BLS 2015に準拠)ポケットレファレンスが付録としてついてきて便利ですが、テキストそのものが高いです。研修医同期が買ったテキストを借りるor図書館で借りることを推奨します。
- ACLS (Advanced Cardiovascular Life Support)
ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015 準拠
病院に到着後の蘇生の流れを学ぶコースです。心停止・脳梗塞について実際の症例をもとにシミュレーションします。除細動器を用いることもできますし、蘇生の現場のリーダーとしてどのように指揮をとればよいか(チームダイナミクス)、体験をすることができます。看護師さんもリーダー役をするので、看護師が医師に指示をだす、という普段見慣れない光景もありますが、看護師が医師の仕事を理解することも重要なため、リーダー役は体験することとなっています。
心停止(VF, pulseless VT, asystole, PEA)、症候性徐脈に関して、症例をもとにこってり2日間シミュレーションすることとなります。
事前に心電図読みのテストがありますが、国家試験よりははるかに簡単です。修了テストも簡単です。
↑がテキストです(ACLS 2015に準拠)。ポケットレファレンスが付録としてついてきて便利です。が、やはりテキストそのものが高いです。買うか買わないかはどちらでも、というのが正直なところです。
ちなみにACLSを修了したACLS providerがさらに深く学ぶために、experienced providerというコースもあります。
- PALS (Pediatric Advanced Life Support)
PALSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2010準拠
PALSとは、一言で言うと「小児科版ACLS」です。15歳までの小児科がカバーする乳児・幼児・児童・学童が心停止を起こした際にどのような対応をするか学びます。
BLS, ACLSと比較すると、テキストのデザインが少し違います。というのも、 テキストはPALS 2010に準拠したものだからです。個人的にはPALS 2015が出版されてからテキストを購入、受講するのが正解だと思います。
救急外来で小児は前例小児科が診る、という病院に勤めている人には不要な講座です。僕の勤務している病院では、小児科症例もできるだけ頑張って普通の当直の医師が診ることとなっています。少しでも知識の足しになれば、と思い、PALSを受講しました。
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