のび太の研修医日記

人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる医師への道


研修医生活

総合診療専門医を志望する研修医が増えるとは思えない

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マイナビDOCTORに「総合診療専門研修、過疎地域などの研修が「条件」~専門医機構が一次審査基準を改訂」という記事がありました。

https://doctor.mynavi.jp/contents/column/news215/

(2018年6月29日閲覧)

 

今年2018年4月から始まった新専門医制度。新専門医2年生の募集にあたって、研修プログラムが鋭意作成されている時期かと思います。そんな中、専門医機構が「総合診療医の専門医育成プログラムに過疎地域研修を条件として課すこと」を発表しました。

 

僕は現在初期研修2年目の研修医です。来年度より専門科の研修が始まります。どの科を選ぶか考えるにあたって、「総合診療科」ほどよくわからない科はありません。

 

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総合診療専門医概要が専門医機構のホームページで発表されています。

http://www.japan-senmon-i.jp/comprehensive/index.html

 

このページに記載されている専門プログラム整備基準には、領域専門医の使命として、下記のように記載されています。

 日常遭遇する疾病と傷害等に対して適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療を全人的に提供するとともに、地域のニーズを踏まえた疾病の予防、介護、看とりなど、保健・医療・介護・福祉活動に取り組み、絶えざる自己研鑽を重ねながら、地域で生活する人々の命と健康に関わる幅広い問題について適切に対応する使命を担う。

 総合診療専門研修プログラム整備基準(平成29年7月7日)

 

総合診療専門医=内科・外科を標榜している開業医の先生のイメージでしょうか。

現在は、「内科」と標榜しても実際は消化器内科の先生が開業されていて、実は循環器内科や腎臓内科疾患は得意ではない、といったことがままありました。臓器別内科の専門にとらわれることなく、バランスの取れたプライマリケアをできる医師を育てたいのかと思います。病院で降圧薬や糖尿病薬の調節を行い、病診連携を経て診療所に送り出すことが今後増えるものと思われます。病院に頼りすぎることなく診療所レベルでこれらの薬剤の調整、全人的なサポートを行えることが、総合診療専門医に求められるのでしょう。

 

ただ、現状は「総合内科」というと、膠原病内科や感染症内科を得意とする医師が多いイメージです。(総合内科と総合診療科は必ずしも同一ではないのでしょうが)

病院で総合診療研修をすると、臓器横断的な膠原病・感染症の診療がメインとなるのではないかと懸念されます。プライマリケアとして重要な外傷の初期対応を学ぶ機会・指導体制が確保されているかは微妙なところですし、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の管理も循環器内科・腎臓内科・糖尿病内科といった専門科の仕事となってしまい、病院の総合診療科がこういった生活習慣病の管理を行っているイメージがなかなかありません。病院勤務の総合診療科はどうしても、帯に短し襷に長しな科になりがちです(個人的偏見です)。

実家が開業医で、事業継承が確実に行われるのであれば、総合診療専門医はいい選択肢になるのでしょうが、そうでなく勤務医として生きていこうと思っているのであれば、総合診療専門医になるメリットは少ないです。そう思って、僕の将来の選択肢から総合診療専門医は消えました。

 

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これに加えて、過疎地域での研修が必修化されました。新専門医制度が開始する際に、後期研修医の都会部への集中が問題として議論されました。これに配慮する形で、過疎地域での研修が必修化されたものかと思われます。

ただ、過疎地域での研修は嫌だな、というのが正直なところです。

家庭があり子どもの教育を考えなければならない後期研修医はもちろんのこと、そもそも過疎地域の医療水準は高くなく、充実した研修にならない可能性が懸念されます。

 

僕自身、地域研修で実感しましたが、過疎地域の病院だと

・血液検査の結果が当日中に帰ってこない

・TDMが必要な抗菌薬・抗けいれん薬の検査が外注で結果が帰ってくるのが3日後になってしまう

・専門科にコンサルトしようにも専門科が近隣になくコンサルトできない

・インスリン製剤が院内に置かれていない

などなど、研修するには困難な環境です。

 

こんな環境での研修は、将来開業医として働くことを考えると有意義なのかもしれませんが、若いうちは潤沢に医療資源を利用できる環境で研修を行いたいと思うのも無理のないことかと思います。

 

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まとめると、総合診療専門医が新設されましたが、その実数が増えるとは到底思えません。特に病院に総合診療医が必要な理由はよくわからないです。

ただ、今後総合診療専門医数が普及するにつれて、開業医だけではなく病院においても、循環器内科+腎臓内科+糖尿病内科といったふうに多数の診療科を受診していた患者さんが、総合診療科だけ受診すれば事たる、という時代がくるかもしれません。ここまで総合診療専門医が普及すれば、病院内においても価値が出てくるのではないでしょうか。

 

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