前回に引き続き、裁判ネタです。
以前、「血ガスの入門書!竜馬先生の血液ガス白熱講義」という記事で、こう述べました。
研修医になってまずすることになる手技が大腿動脈からの動脈穿刺。呼吸状態が悪い患者さんに血液ガス分析をする際に必ず行う手技ですよね。
血管の太さがぜんぜん違うし、動脈は拍動していて分かりやすいので、大腿動脈からの採血は上腕静脈からの採血と比べて難易度は低いように僕は思います。
静脈採血と比べたら大腿動脈から採血するのは簡単やろー、と余裕ぶっこいていたのですが、こんな判例を見つけてしまいました。
裁判所のホームページより
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/064/083064_hanrei.pdf
要約すると、
胸痛による呼吸困難のため、大腿動脈より血ガスを取った際、神経損傷を引き起こしたため末梢神経障害が残った。そのため約400万円の賠償を行うこととなった
というお話。
やっぱり動脈穿刺はそれなりにリスクなんやな、と思います。
だから、コメディカルの方々は動脈穿刺してはいけないことになっているかー、とも思いました。
そして、「一度穿刺したら針の向きを変えてはいけない」とこの判決の中に書かれていて驚きました。動脈に当たらなかったら一度引いて針の向きを変えるのなんて、日常茶飯事なので、しっかり判例となっていてちょっと驚きです。
アタリマエのことですが、
- 鼠径靭帯(上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ線)よりも下で採血する(腸管穿刺を防ぐため)
- 拍動をふれる最強点で穿刺する。あるいは気持ち内側を穿刺
ということを遵守すべきなのでしょう。
僕は、大腿はVANなのでひよって内側を刺してしまい、Vガス分析にしてしまうことが時々あります。やっぱり自信を持ってAを刺すべきなんやろうと思いますが、Nを刺すのが怖くてVに刺しちゃいます。(このくだり医療関係者じゃないと意味不明でしょうが(^_^;))
冒頭のように余裕ぶっこいてないで、手技上達に努めていきたいものです。
ちなみに橈骨動脈穿刺はいまだにすごく苦手です。。。(;´Д`)
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