のび太の後期研修医日記

人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる医師への道


研修医生活 医学書レビュー

救急当直をして思う

投稿日:2017-05-24 更新日:

UzbekIL / Pixabay

救急当直はどの病院でも研修医の大事なお仕事の一つだと思います。ある意味、病院の中ではお荷物的存在である研修医が、病院へ貢献できる貴重な場面が「救急外来」であるとも言えるでしょう。

ぼくも4月から何回か救急外来に立たせていただいて、当番のたびに昼間とは違う病院の姿に驚きます。

まず、患者さんを診るときの医師のマインドが、

「患者さんの疾患を正確に診断する」

のではなく

緊急性のある疾患を除外し、できるだけ帰宅・翌日再診していただく

に変わるんやなぁ、と感じます。

例えば、頭痛の患者さんが来られたのであれば、ひとまず緊急性の高い二次性頭痛(くも膜下出血や髄膜炎など)をできるだけ素早くrule outし、鎮痛剤を処方して帰宅していただこう、と考えます。すなわち、緊急度の高い頭痛が否定され、一次性頭痛だと思われる場合、緊張性頭痛なのか偏頭痛なのか群発頭痛なのか、などということはそこまで重視されません(もちろん考えはしますが)。とにかく緊急性のある二次性頭痛を否定することに心血を注ぎます。

 

スポンサーリンク


 

 

日中の病院では、検査を積み上げて、鑑別を挙げ、そこから最も疑わしい病気を考える、という思考回路で診療していくのに対し、救急外来では「除外すること」に頭を使います。

 

研修医としてまず身につけるべきことは、「症状」に対して「除外すべき疾患」をまず覚えること。例えば、「胸痛」の患者さんについては「心筋梗塞」「大動脈解離」「肺動脈塞栓症」「緊張性気胸」を除外する、というように、「症状」ー「除外すべき疾患」をスラスラ出てくるようにしたいものです。

 

正直なところ、まだまだ「カンペ」を見ながら当番をしている、というのが現状です。。。

例えば、こんな本を見ています。

 


一般総合内科の外来でも使えるマニュアルです。「症状」に対する鑑別疾患が挙げられており、緊急度も示されています。そして、鑑別をどのように進めていくかフローチャートで示されており、非常に分かりやすいです。

 

患者さんの前に出るときに「マニュアル」なんてものを読んでると非常に心象が悪いので、人目につかないように「こそっと」読んでいます。いつの日かマニュアルがなくてもある程度の対応ができるようになりたいものです。

 

ランキングに参加しています。よろしければクリックいただけると幸いです!

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
にほんブログ村

研修医ランキング



336*280

336*280

-研修医生活, 医学書レビュー

執筆者:


  1. […] 先日、「救急当直をして思う」という記事で紹介した、「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」を参照してもなかなかヒントは得られません。 […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

タバコによって医療者の治療意欲は削がれるのか?

Pexels / Pixabay 一昔前、あるジャーナリストが透析患者に関する不適切な発言をし、物議を醸しました。 「長谷川豊氏、「人工透析」ブログの「真意」語る 全腎協の謝罪要求は「断固拒否」」 J …

大腿動脈からの血ガス・血培をとるのは余裕!と思っていると。。。

Clker-Free-Vector-Images / Pixabay 前回に引き続き、裁判ネタです。 以前、「血ガスの入門書!竜馬先生の血液ガス白熱講義」という記事で、こう述べました。 研修医になって …

新専門医制度に対する研修医の想い

新専門医制度に基づく専攻医の募集が始まっています。医療界を騒がせた新専門医制度に関して、研修医目線の感想を書いてみたいと思います。あくまで私見ですので、ご了解ください。   本来は昨年に開始 …

女医が結婚後も旧姓のまま働き続ける方法

ご無沙汰しています。研修医のび太です。   最近立て続けに研修医同期や大学時代の友人の結婚式に出席しました。 男女平等が叫ばれる昨今ですが、妻の姓は夫のものに合わせることが大半だと思います。 …

ScansnapとEvernoteで自炊生活

書類の整理のために最近Scansnapを使い始めました。昔から使っているEvernoteと併用して、うまい感じに機能しています。 仕事を始めると、どうしても書類が溜まってしまいがち。昔の書類は捨ててし …

doctor_dog

doctor_dog

プロフィール

名前:のび太
とある国公立大学を卒業し、とある病院で働いている臨床研修医。2019年〜小児科後期研修医、2017-2019年初期研修医。研修医になって見て感じたことを記録に残したくてブログをはじめました。のび犬じゃないよ笑

※当ブログに掲載している情報、特に医学的情報は医学を勉強途中の研修医の意見に過ぎません。その点を留意の上お読みくださいませ。

twitterのフォローはこちらから!