初期研修2年も終わりかけとなった今日このごろ。いわゆるBLS, ACLSといった蘇生処置の初期対応について初期研修の当初はトレーニングをたくさん積みましたし、この2年間で幾度となく対応してきました。
ただ、「この人に蘇生処置をするのはどうだろう?」という方がたくさん病院に運ばれてきているのも事実です。ご本人・ご家族も、胸骨圧迫・人工呼吸・昇圧剤の使用を行わず、自然な形で最期の時を迎えることを希望されているにもかかわらず、「いざ最期の時」となって119番要請をしてしまい、胸骨圧迫が開始されてしまう、、、というのをこの2年間で何度も見てきました。
以前にこんな記事を書きました。
本邦においては死亡診断は医師にしかできない行為です。日本では医師が死亡診断をしない限り人は死にません。
救急隊が到着した段階では(生物学的には明らかに死んでいたとしても)人は生きています。救急隊は遺体搬送を業としているわけではないので、蘇生処置を行わずに病院搬送することはできません。原則は蘇生処置を開始することになっています。
そんな中、こんな記事を見かけました。
『任務は救命、分かれる対応=蘇生中止にストレスも』(2019年3月23日閲覧)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000003-jij-pol
同記事より
埼玉西部消防局は、蘇生中止の申し出があった場合の手順を2017年に定めた。申し出は原則としてあらかじめ本人が記名した書面で行われ、交通事故や自傷など外因性の心肺停止が疑われたり、継続を強く求める家族がいたりした際は蘇生を続ける。さらに家族に同意書への署名を求め、かかりつけの医療機関に連絡。医師から中止の指示を受けて初めて蘇生をやめるルールとした。
18年1月~12月の間、蘇生中止の申し出は25件あり、うち13件で実際に中止。他の12件は基本的な救急処置を施し、病院に搬送した。
同局によると、以前は家族の同意書のみで蘇生をやめたこともあったが、手順の確立後、隊員からは「確実で安心」との声が出ている。一方で「救急隊は人の命を助ける仕事。蘇生中止にストレスを感じる」との意見もあったという。
厳格に要件を定め、蘇生処置を開始しないこともあるようです。かかりつけ医に連絡がとれない休日・夜間はどうするか、という問題がありますが、現状を考えると妥当な取り組みだと思います。ただ、電話連絡しか受けていない医師が最終的責任をとる、というのもどうなんだろう、とも思います。
自分の親が最期を迎えそうな際にどこに連絡すべきはよく考えておかなければなりません。
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