緊急避妊薬のオンライン処方が可能となるそうです。以下の記事に詳細が記されています。
「緊急避妊薬オンライン処方解禁へ 望まぬ妊娠回避に期待」(2019年3月29日閲覧)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00000096-asahi-soci
救急外来当直で「緊急避妊薬処方希望」を主訴に女性が来院されることが少なくありません。僕は1-3次まで応需する病院で2年間初期研修医として救急当直勤務しましたが、緊急避妊薬処方希望の患者さんを10人程度診察しました。(「診察しました」といってもお話を聞いて薬を処方するだけですが)
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それぞれに事情は様々。夫婦で性交渉をしていたがコンドームが破れて失敗した、彼氏と性交渉をしていたがコンドームが破れてしまった、彼氏がコンドームをしてくれなかった、、、などなど。
緊急避妊薬内服で100%妊娠成立を防ぐことは不可能であること、すでに妊娠している場合は緊急避妊薬内服は無効であること、緊急避妊薬内服後の一般的な経過について説明し、正しい避妊法や性感染症の予防法を教育し、帰宅とします。緊急避妊薬の処方は重要なプライマリ・ケアです。初期研修医が身につけるスキルの1つだと思いますが、研修病院によっては経験できないかもしれません。
インターネット上で様々な医薬品が販売されるようになってきています。
以前この記事でも記載しましたが、花粉症シーズンに耳鼻科・内科で処方されるフェキソフェナジンは今やAmazonで購入できるようになっています。抗アレルギー薬を求めて来院する患者さんが減って、医師の負担減となったことと思います。
抗アレルギー薬をインターネット上で購入できるようになり、医師・患者双方の負担が減ったことは望ましいことでしょう。ただ、ロキソプロフェンナトリウムをインターネット上で購入できるようになり、NSAIDs潰瘍の患者やAKIの患者が実は増えているのかもしれません。ましてや経口避妊薬をや。望まない妊娠を女性自身が自分自身の判断で避けることができるのは素晴らしいことですが、その一方で、「予防的に緊急避妊薬を内服する人」「緊急避妊薬が気軽に手に入るから避妊をしなくなる人」「無防備な性交渉を行い性感染症を患う人」が増えてしまう可能性があります。
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個人的には、緊急避妊薬処方の際には手間であっても、病院に来て処方を受けるのが望ましいと思います。
来院いただくと、直接顔をあわせて、「正しい避妊は『経口避妊薬(LEP製剤)+コンドームの使用』であり、性感染症の観点からはコンドームの使用はできるかぎり行うべきであること」を教育することができます。正しい避妊・性感染症に関する教育機会が担保されるのであれば、インターネット上の処方で問題ないと思います。しかし、ロキソプロフェンナトリウムのインタネット処方で注意書きをほとんどの人が無視しているであろうことを考えると、教育機会を逃してしまう可能性が高いと思います。
救急外来で腹痛を主訴にした女性が「生理が来たから妊娠している可能性はない」と言い、実際には異所性妊娠であることがまれによくあります。非医療者の妊娠に関するリテラシーは高くないです。緊急避妊薬の処方の際には注意してもしすぎることはないのでしょうか。
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