いつのまにやら国試まで1週間。久しぶりに医学書レビューを書こうと思います。
今回ご紹介するのは、
『ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして』
という本です。
Contents
主要症候に対する鑑別、各々の所見の感度・特異度が分かる
例えば、『失神』という症候に対してどのような鑑別を挙げるでしょうか。
・心原性失神
・脳血管疾患
・起立性低血圧
・薬剤性
・神経調節性(血管迷走神経性失神・状況失神・頸動脈洞症候群など)
などが挙げられると思います。
本書では主要症候に対する鑑別が挙げられており、それぞれがどの程度の割合か挙げられています。
例えば65歳未満の場合は心原性は12%であるのに対し、65歳以上の場合は34%にのぼることが、引用文献の出典とともに掲載されています。
また、心原性失神に対して、鑑別すべき器質的疾患(急性冠症候群)や不整脈についても丁寧に述べてあります。
また、疾患ごとに感度・特異度・陽性尤度比・陰性尤度比の高い所見が挙げられています。
例えば、神経調節性失神に特異度の高い症状についてもデータが挙げられており、65歳以上における腹部不快感は特異度・陽性尤度比の非常に高い症状だとわかります。
「『リンパ節腫脹』ってどんな鑑別が挙がるのだろう?疾患ごとの割合はどのくらいなのだろう?悪性疾患に特異的な所見は何なのだろう?」
「『浮腫』を診た時にどんな鑑別が挙がるのだろう?」
「『動悸』を診た際に、どのような鑑別が挙がるのだろう?貧血やAF, AFL, SVTなどの不整脈が鑑別に挙がるのだろうけど、それぞれどのくらいの割合なの?」
こんな疑問に数字で答えてくれるのが本書となります。