のび太の後期研修医日記

人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる医師への道


医学関連

心エコーでよく使う略語・正常値

投稿日:2017-07-21 更新日:

falco / Pixabay

心エコー検査は略語のアルファベットが多く、苦しむことが多いです。

略語と基準値をまとめてみたのでご参考までに。自分自身へのための備忘録でもあります。

 

定評のある参考書は↓の本です。研修医の先輩や技師さんにおすすめされました。医学書にしてはそこまで高くないので、1冊あると便利かもしれません。

 

スポンサーリンク

 

Contents

LVDs/d Left Ventricular Dimension (systole/diastole) 左室収縮/拡張末期径

LVDd 30-55mm程度 LVDs 20-30mm程度が正常。

 

IVST InterVentricular septum thickness 心室中隔
PWT left ventricular Posterior Wall Thickness 左室後壁厚

いずれも12mm以下。だいたい同じ大きさ。13mmを超えてくると左室肥大疑い。肥大型心筋症や慢性心不全による心肥大など。

 

FS Fractional Shortening 左室径短縮率

FS= ( LVDd – LVDs ) / LVDs × 100 [%] で計算する。0.30以上が正常。

 

EDV End-Diastolic Volume 拡張末期容量
ESV End-Systolic Volume 収縮末期容量

Simpson法などによって計算。最近は3D心エコーも登場してきており、より正確に計測できるようになってきているらしい。個人差が大きく一概に正常値は言い難いが、EDV 90 -140mL、ESV 30 – 95 mLくらい。

 

SV Stroke Volume 一回心拍出量

SV = EDV – ESV で計算する。60〜130mm程度が正常値。アスリートだともっと大きくなる。

 

EF Ejection Fraction 駆出率

EF = ( SV / EDV ) × 100 [%] = ( EDV – ESV  / EDV ) × 100 [%] で計算する。

50%を切ると心機能低下があると評価する。

 

LAD Left Atrial Dimension 左房径

40mm以下が正常。超えてくるとMRやMS、右→左シャントなど左房負荷がかかる疾患があるかもしれない。厳密には LAD / AOD 比が1.2以上になった場合を左房拡大ととるらしい。PADの重症度判定に用いられる。

 

RVD Right Ventricular Dimension 右房径

35mm以下が正常。あまり計測されることはない。超えてくると、肺高血圧や左→右シャントなど右房負荷がかかる疾患があるかもしれない。

 

AOD Aortic dimension 大動脈径

35mm以下が正常。超えてくると実は瘤があるかもしれないので注意。胸部Xpで左第一弓が突出してないかチェック。

 

IVC Inferior Vena Cava 下大静脈径

呼吸性変動がみられる。呼気時に20mm以下が正常。吸気時にはだいたい16mm以下になる。全身の血管内volumeの目安となる。熱中症などで脱水になるとIVCは虚脱する。また心不全となると呼吸変動が消失する。

 

スポンサーリンク

 

大動脈弁に関して

PPG Peak Pressure Gradient 最大圧較差

大動脈圧と左室圧の差のうち最大のもの。簡易ベルヌーイ式で計算することも。40mmHgを超えると重症AS。手術適応となる。手術できないことも多いが。。。

 

AVA Aortic Valve Area 大動脈弁弁口面積

大動脈の弁口面積。1cm2以下となると重症AS。手術適応となる。手術できないことも多いが。。。

 

三尖弁に関して

TR-PG TRicuspid Pressure Gradient 三尖弁圧較差

三尖弁前後の右房・右室の圧較差。TR-PGの最大値が肺動脈圧と相関すると言われており、PAHの診断に有用ではないかとも言われている。

 

とりあえず日常でよく使うのはこんなもんでしょうか。間違いなどがあったら教えていただけるとありがたいです。

 

ランキングに参加しています。他にも『研修医』『医師』をテーマにした面白いブログがたくさんあるので、よろしければクリックいただけると幸いです!
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
にほんブログ村

研修医ランキング

 



 

336*280

336*280

-医学関連

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

Amazonで医薬品が買える時代に

いつのまにかAmazonで医薬品が販売されるようになっています。 「便利な世の中になったなぁ」と思います。 病院に勤務していても、受診して処方を受けるのは面倒です。僕自身、Amazonで医薬品を購入す …

抗体製剤の功罪

有名医学雑誌NEJMを眺めていると、こんな興味深い論文がありました。 “Overall Survival with Combined Nivolumab and Ipilimumab in …

熱中症診療ガイドライン2015のまとめ

ktphotography / Pixabay   気がつけば8月。暑い日々が続き、救急外来をしていると、海でクラゲに刺されただとかハチに刺されたといった季節を感じさせる主訴の患者さんがたく …

経口補水療法に白いDAKARAは飲んじゃダメ!?

急性胃腸炎や熱中症で救急外来に来られた患者さんに、経口補水療法(Oral Re-hydration Therapy)を指導することがあります。   脱水の際には点滴で水分・電解質を補うのも一 …

緊急避妊薬のオンライン処方解禁へ

緊急避妊薬のオンライン処方が可能となるそうです。以下の記事に詳細が記されています。 「緊急避妊薬オンライン処方解禁へ 望まぬ妊娠回避に期待」(2019年3月29日閲覧) https://headlin …

doctor_dog

doctor_dog

プロフィール

名前:のび太
とある国公立大学を卒業し、とある病院で働いている臨床研修医。2019年〜小児科後期研修医、2017-2019年初期研修医。研修医になって見て感じたことを記録に残したくてブログをはじめました。のび犬じゃないよ笑

※当ブログに掲載している情報、特に医学的情報は医学を勉強途中の研修医の意見に過ぎません。その点を留意の上お読みくださいませ。

twitterのフォローはこちらから!