のび太の後期研修医日記

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消化器内科で使う略語

投稿日:2017-04-16 更新日:

どの科を回っていてもそうですが、その科独特の略語があります。

消化器内科を回っていて、知っておいたほうがよい略語を僕の備忘録も兼ねて、挙げておきます。

 

Contents

EGDS (EsophagoGastroDuodenoScopy) / EGD

EGDS (EsophagoGastroDuodenoScopy)「食道胃十二指腸内視鏡」です。いわゆる「上部消化管内視鏡」のことです。EGDと略す先生も。

ベテランの先生は、GIF (GastroIntestinalFiberscopy)と略されることも。

下血のとき緊急でEGDSで出血源を探しに行きます。

 

CS (ColonoScopy) / CF

CS (ColonoScopy)「大腸内視鏡」。いわゆる「下部消化管内視鏡」のことです。

EGDSとは異なり、基本的には下剤を飲んで腸管内をキレイにしてから検査するので、緊急では行われにくい検査です。CF (ColonoFiberscopy)と略されることも。

 

ERCP (Endoscopic Retrograde CholangioPancreatography)

ERCP (Endoscopic Retrograde CholangioPancreatography)「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」です。

胆汁は「肝臓」→「総肝管」→(「胆嚢管」→「胆嚢」→「胆嚢管」→)「総胆管」→「十二指腸乳頭」の順に胆道を流れます。ERCPでは口からカメラを飲んでもらって、十二指腸乳頭から総胆管へ造影剤を流し、胆道に結石など病変がないか評価します。胆汁の流れとは逆に造影剤が流れるので「逆行性」と呼びます。

MRCPとは異なり、内視鏡(太い管)を口から入れているので、ステントを留置する、結石を取る、などの処置を同時に行えます。

 

MRCP (Magnetic Resonance CholangioPancreatography)

MRCP (Magnetic Resonance CholangioPancreatography)「核磁気共鳴胆管膵管撮影」です。

日本語にしても難しい名前ですが、MRCPのMRはMRIのMRです。要するに、肝胆道系に特化したMRIだと思えば良いと思います。

こちらはERCPとは異なり、内視鏡を口から入れないので非侵襲的ですが、ステントを留置する、結石をとる、などの処置は行なえません。

 

EST (Endospcopic SpincTerotomy)

EST (Endospcopic SpincTerotomy)「内視鏡的乳頭括約筋切開術」です。

例えば総胆管結石によって胆汁がうっ滞している時には、速やかに胆汁うっ滞を解除しないと、胆汁内の細菌が血流に乗ってしまい、敗血症性ショック(急性化膿性胆管炎)に陥ってしまいます。そのためうっ滞解除を行うわけですが、ステント留置と同時に十二指腸乳頭括約筋(Oddi括約筋)を切開します。この切開をESTと呼びます。切開の大きさに応じて、EST小切開/EST中切開/EST大切開と呼びます。十二指腸乳頭近傍に存在し、総胆管・主膵管を取り囲むように存在するOddi括約筋をESTにて切開することで、総胆管の疎通性を確保でき、胆汁うっ滞を解除できます。主膵管の疎通性も確保できるため、胆石性膵炎にも有効です。

 

EMS (Endoscopic Metallic Stent)

EMS (Endoscopic Metallic Stent)「内視鏡的金属ステント」です。

例えば総胆管結石によって胆汁がうっ滞している時には、速やかに胆汁うっ滞を解除しないと、胆汁内の細菌が血流に乗ってしまい、敗血症性ショック(急性化膿性胆管炎)に陥ってしまいます。そのためうっ滞解除を行うわけですが、ドレナージ目的にステントを留置します。このステントをEMSと呼びます。

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プロフィール

名前:のび太
とある国公立大学を卒業し、とある病院で働いている臨床研修医。2019年〜小児科後期研修医、2017-2019年初期研修医。研修医になって見て感じたことを記録に残したくてブログをはじめました。のび犬じゃないよ笑

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